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初写真集の出版が決まったとき【写真家としての大きな一歩】

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初写真集の出版が決まったとき【写真家としての大きな一歩】

富士フォトサロン新人賞という写真賞を受賞した僕の作品「LOVE! LIFE! LIVE!」ですが、いろいろな方の協力のもと、受賞の翌年に写真集として出版させていただくことができました。
今回は、その頃の記憶を振り返りつつ、あらためてブログ記事にまとめてみます。
せっかくなので、出版までの経緯など、詳細についても書きます。

受賞から出版にいたるまで

富士フォトサロン新人賞を受賞後、受賞写真展が東京、大阪、福岡の3カ所で行われることになりました。(写真家としてデビュー後、初の大規模な写真展でもあったので小躍りして喜びました)
じつは受賞後、東京での受賞写真展の際にも出版の話をいただいていたのですが、当時は東京、大阪の写真展とレギュラーの仕事の両立だけで手一杯だったのもあり、また自分の中では写真展と写真集への取り組み方はまったく別物で「やるからにはきちんとやりたい」という気持ちが強かったため、紆余曲折の末、受賞の翌年3月に福岡での写真展が終わってひと区切りついた後、夏にあらためてご協力いただく某版元の社長と相談し、出版が決定しました。

全国書店での発売日について

当初の予定では10月上旬発売とありますが、諸事情により若干発売日がずれるかもしれません。(後日加筆、実際にずれました…)制作に関しては9月末時点でほぼ終了していたのですが、ぎりぎりまで完成度を上げたいために調整を行いました。

受賞時に、選考委員として僕を選んでくれた写真家の小林紀晴さんにも、表紙の帯にコメントをいただけることになりました。
また、EXILEのMATSU(現 松本利夫)さんからもメッセージを頂戴しました。

内容ですが、新人賞を受賞した作品は約200点近い枚数がありました。
セレクトしたもので200点なので、総撮影カット数は少なくともその10倍以上はあったと思います。

初めての写真集をつくるにあたって考えたこと

写真にはいろんな見せ方がありますが、僕は枚数を増やし、圧倒的な量と質感で、雑多な、混沌とした世界を表現したいと思いました。
その結果、出版社様、印刷会社様に協力して頂き、予定通りオールカラーA5サイズ/160ページ、定価1500円(税別)で発売できることになりました。

基本的にはほぼ展示の写真を中心に構成していますが、当然ページ数やサイズが変わるため、見せ方、構成も変えていく必要がありました。
そのため、一部新しい撮りおろしを加え、巻頭、および中面と巻末に文章を書いています。
特に、文末に掲載した文章は、最終的に15,000字になりました。

僕は、写真集というのは、表現としての芸術性も大切ですが、同人誌や自費出版ではなく、全国の書店に流通し商業ベースに乗せる上で、単なる個人的な趣味写真の領域で終わっては、まったく意味がないと思っています。

ひとりでも多くの読者のみなさんに、どれだけ言いたいことが伝えられるか。
世の中に対して、何か伝えたいことがあるか。
その内なる衝動みたいなものが、一番大切だからです。

もちろん説明的になりすぎたり、押しつけになってはいけない。見る人によって、いろんな見方ができるのも写真の面白さなので、その辺はバランスをとって構成したつもりです。

僕にとって本作は一冊目の写真集ですが、小説家にしろ、写真家にしろ、いわゆる処女作には、その人のすべてが凝縮されているものだ、と思っています。

まとめ

以上は、当時運営していた個人ブログに記載していた文章です。
編集作業がほぼ終わり、その熱量の真っ只中で書いたものなので、多少暑苦しいですが嘘偽りはありません。
ひとりでも多くの人が、写真という表現に興味を持っていただくきっかけになれば幸いです。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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