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映画、TV(ドラマ、バラエティ)のスチール写真で稼ぐ

2020年7月8日

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映画、TV(ドラマ、バラエティ)のスチール写真で稼ぐ

2020年7月8日

映画やドラマ、バラエティなどの映像作品には「スチール写真の撮影」という仕事があり、フォトグラファーが担当します。動画のオフショットを静止画(写真)で撮影する仕事です。今回は、スチール写真の仕事について説明していきます。

スチールとムービーの違い

動画の現場では、動画を撮影するカメラマンと、静止画(写真)を撮影するフォトグラファーがいます。リンク先の記事で詳しく説明しています。
<リンク 撮影業界におけるスチール、ムービーの意味や違いとは?>

写真を撮るフォトグラファーは「スチール」と呼ばれ、メイキングやオフショット(場面の間)の撮影を担当します。
ちなみにメイキングのことを英語では「behind the scene(ビハインド・ザ・シーン)」と言いますが、メイキングだけを専門に撮影するフォトグラファーもいて「behind the scene photographer」と呼び、ひとつのジャンルとして確立されています。

スチール撮影の注意点は?

動画の現場では、非常に多くのスタッフが参加します。現場のディレクター、監督、照明、音声、出演者、スタイリスト、ヘアメイクに加え、ムービーのカメラマンは1カメ、2カメという具合に複数名がいることも多いです。また、さらにAD(アシスタントディレクター)や照明や音声のアシスタント、出演者のマネージャーといった人たちを加えると、10名を超えることも少なくありません。具体的には下記のようなポイントがあります。

収録の流れを妨げない

多くの人たちが連動して動く上に、スケジュールもタイトなことが多く、誰かが足並みを乱すと現場が混乱してしまいます。基本的にはまわりの動きに合わせて「空気を読む」ことが求められます。

本番中に音を出さない

動画は演者の声だけでなく周囲の音声が録音されてしまうため、シャッター音が撮影の妨げになる可能性があります。「本番中のスチール撮影はNG」になっている現場は多いので、事前に確認することが必要です。シャッター音を消すことのできるサイレントモードが搭載されたカメラであれば撮影可能、という場合もあります。

日程や内容変更に対応する

動画では収録日や時間、撮影内容が頻繁に変わることは日常茶飯事なので、「聞いていない」といちいち目くじらを立てていては仕事になりません。チームの進行に合わせて、柔軟に対応することが求められます。
ただ、「もともと2時間の予定だった収録が12時間になった」「スチールのみの予定だったが急に動画も撮れるかと聞かれ、機材を準備していないと答えたら怒られた」という風に大幅な内容変更があった場合は、交渉した方がいいでしょう。

撮影時のポイントは?

スチール撮影はあまり時間がなく、現場がバタバタしていることが多いため、それなりのスキルが求められます。

・狭い場所でも撮影場所を確保する
・必ず撮らないといけないシーンを逃さない
・短い時間内で各シーンを押さえる
・寄り、引きなどを手早く
・望遠レンズ、標準ズームレンズなどを
・各スタッフとのコミュニケーション
・撮影後の迅速な納品
(JPEGデータなのか、必要な画像サイズはどれくらいかを確認する)

ざっと挙げると、以上のようなポイントがあります。

どうすればなれる?

おもに、映像関連のプロデューサーやディレクターから仕事の依頼がくることが多いです。TV局のスタッフから直接ということもありますし、制作会社の担当から、あるいは知人の紹介で、というケースもあります。
動画の現場は最低でも数日間に渡って週力が行われることが多く、作品によっては長期間の日程(1カ月以上)が組まれるため、期間中に稼働できるスタッフを押さえておかなければいけません。
特にドラマや映画の場合、急な日程変更や撮影が深夜にずれる、といったことは頻繁に起こります。
とはいえ、仕事を受ける側も毎日予定を空けておくことは難しく(可能な限り対応したとしても)、比較的流動性が高い仕事であると言えます。
キャスティングする側としてはできるだけ担当スタッフを固定したいのが本音ですが、急きょ人が手配できない…というタイミングで声がかかることが多いです。
映像関連の知人をたくさんつくっておくと、仕事が来やすいです。

スチール撮影は稼げる?

スチール撮影の報酬は日当で支払われることが多いです。拘束時間は長めですが、2~3時間で終わることもあれば、予定が延びて6時間を超えることもあります。その場合でも金額が変わることは基本的にありません。最初の予算組みである程度の枠が決まってしまうため、個別のギャランティを大幅に増やすことが難しいからです。
金額は作品の規模やクライアントによって異なりますが、1本あたり2~4万円といった案件が多いようです。稼働日数が10日間の場合は、当然ですが10日分が撮影後に支払われます。

映像の現場における「スチール写真」についてのお話でした。作品が仕上がるまでの過程に携われるので、やりがいのある仕事です。ただ、日程などの変更に対してフレキシブルに対応しないといけないので、副業的な形では難しいかもしれません。
特に求人などが出ているわけではないので、興味がある人はまず情報集めをしてみてください。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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