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副業・独立には複数のスキルを持つと便利?【フリーランスとして生きる方法】

2020年3月20日

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副業・独立には複数のスキルを持つと便利?【フリーランスとして生きる方法】

2020年3月20日

フリーランスとして生きていく上で「専門分野を極めるべき」あるいは「複数のスキルを持った方がいい」という両方の意見があります。はたしてどちらが正しいのでしょうか?実体験を交えながら、意見を述べてみたいと思います。

どちらが正しい?

まず、それぞれの意見について見てみましょう。

専門分野を極める派

メリット…個性をはっきりさせることで、仕事をもらいやすくなる。

デメリット…時代の変化に、柔軟に対応しにくい。

複数のスキルを持つ派

メリット…いろんな仕事ができるので、生き残りやすい。

デメリット…器用貧乏になりやすい。

簡単に例えると、ロールプレイングゲームが一番わかりやすいですよね。

「専門分野を極める派」は戦士のレベル35、「複数のスキルを持つ派」は戦士レベル13/魔法使いレベル12/盗賊レベル10のマルチクラスキャラ、みたいな感じです。

当然、専門的な分野に能力を割り振った方が早く成長できるのですが、戦士レベル50/魔法使いレベル50/盗賊レベル50のような感じで、すべての能力を一定レベルまで上げきってしまえば、複数のスキルを持っていた方が便利です。

僕の経験を振り返ってみる

僕は20代の前半、雑誌や広告をつくるデザイナーになりたくて、地元・熊本の出版社に入りました。人手が足りなかったこともあってすぐ取材を手伝うようになり、文章を書きながら写真も撮るようになりました。

やがて、「写真の仕事が一番自分に合ってそうだな」と考えるようになり、フォトグラファーとして独立するために退職。

「どうせやるなら日本で一番競争が激しくて、でかい街、東京でしょ!」

と地元を離れることを決意し、26歳の終わり頃に上京しました。

ただ、東京に出てきてすぐはフリーで活動するなど夢のまた夢。

それどころかお金がなさすぎて最初はカメラ屋さんでバイトをしながら職探しをしました。

派遣社員としてなんとか採用してもらった広告代理店では、おもにグラフィックデザインの仕事に携わりました。

在職中は「それなりに撮影のスキルがある」ということをアピールしていたものの、社内のスタッフからはかなりレベルが低いと見られていて、実際には販促用のノベルティぐらいしか撮影の仕事を任せてもらうことはありませんでした。

その代わり、外車の広告をおもに扱っていた部署だったため、フォトショップの合成技術はこのときにほぼマスターすることができました。

この会社には約1年在籍しましたが、その間にかなり複雑な合成作業もできるようになり、このスキルが後々役に立つことになります。

フォトグラファーとして独立、再出発

「船出じゃぁぁあああ~~~!!」

広告代理店をやめてフォトグラファーとして独立した頃は、そんな感じで意気込んでましたね(笑)。

ただ、自分の中で固く決めていたのは「デザインの仕事はしない」ということ。

一生関わらないというわけではなく、ある程度自分が撮影の仕事だけで食えるようになるまでは封印しないと、中途半端になるだろうなと感じたからでした。

実際にデザインの仕事は仕掛かりから完成までの拘束時間が長いため、両方を掛け持ちするのはなかなか難しい部分があります。(「写真も撮れるデザイナー」であれば、十分ありですが)

また、もともと文章を書くことも好きで、編集部時代には毎月かなりの量のインタビューと原稿執筆をこなしていたため、「書く」仕事にもそれなりに興味はありました。

ですが、こちらもしばらく封印しようと決意しました。

ただ、上京後、地元で有名な情報誌から月イチ連載(写真と文章)の機会をいただいていたので、その仕事だけはしばらく続けさせてもらいました。

もちろん、自分の名前を冠した連載だったというのが大きかったのですが、まったく何も書かないと、どんどん書けなくなるだろうな…と感じたのも理由のひとつでした。

撮影以外のスキルが役立ったこと

とはいえ、その後にも初めて出した写真集「LOVE! LIFE! LIVE!」のデザインを自分で組んだり、イベントのDMをつくったりなど、受注仕事以外では身につけたスキルを生かすことはできていました。

状況が変わったのは、独立後、5年ほど経ってからでしょうか。

SHUTTERという雑誌を自分で創刊し、編集を手がけるようになってからはコンテンツのディレクションを依頼される機会が増えました。ここ数年は時々、事務所の仕事として編集・デザイン案件を担当することもありますが、実作業はほかのスタッフにお願いしています。

そのほかにも、写真関連の大きなイベントを企画・運営していたことがきっかけでイベント制作に携わるなど、僕の場合は「マルチなスキル」を生かして仕事をしてきたと言えます。

ただ、どちらかというと複数のスキルを生かすことが目的だったというよりは「写真」という表現がつねに軸としてあって、面白そうな話があればその都度関わらせてもらった、という感じです。

なんとなく、自分にできることをまとめてみました。

撮影・レタッチ

スタッフや小道具の手配

動画制作(ディレクション・撮影・編集)

書籍・ムックの編集制作

企業サイトの企画・制作

イベント制作

SEO、コンサル

英会話(インタビュー&原稿執筆)

こうやって「できること」や「やりたいこと」をリスト化していくとわかりやすいですよね。

ちなみに僕の場合、ふだんの仕事では撮影が80%以上の割合を占めていますが、上のリストに挙げた項目は、すべて過去に一度は仕事として受けているものになります。

大きな案件では、予算数百万円を超えるものもあります。

答えはどちらでもOK?

「専門分野を極める」「複数のスキルを持つ」のどちらがいいかという答えに、正解はありません。たとえば「商品撮影」の技術を徹底的に極めて、仕事をしている人もいます。結局のところ、どっちでもOKだと思います。ちなみに僕の場合、新しいことを始めるときには「必ずレベル35ぐらいまでを目指す」ように決めています。中途半端はスキルでは、仕事に生かすことはできないので。

最初のうちは「写真」「文章」「デザイン」など、ひとつのことに集中した方が達成感を得やすいです。

僕の経歴は少し特殊かもしれず、あまり参考になるかわかりません。

ただ、いろいろなことができるようになったからこそ、業界を取り巻く環境が変化し、競争が厳しくなっても、写真の仕事を続けることができているのは事実です。

僕の中では「生き残ること」がひとつのテーマでもあるし、だからこそ自分が好きな表現を続けられているというのもあります。

一番大事なのはきっと、「楽しみながら続けること」ではないでしょうか。

みなさんも、楽しみながら続けられる方法を、ぜひ探してみてください。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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