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写真家、フォトグラファー、カメラマンってどう違うの?【プロが説明します】

2020年3月14日

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写真家、フォトグラファー、カメラマンってどう違うの?【プロが説明します】

2020年3月14日

写真を撮ってメシを食う人のことをかつては「カメラマン」と呼んでいましたが、最近は「写真家」や「フォトグラファー」という呼び方も増えています。

正直どう違うの?という方のために、フォトグラファーという呼び名を日本に定着させた僕が、それぞれの呼称の微妙な「ニュアンスの違い」を解説したいと思います。

「写真家」「フォトグラファー」「カメラマン」の違い


それでは早速、ひとつずつ見ていきましょう。

写真家

個人作品を撮って、それを発表する人のことです。「写真作家」や「作家」ともいいます。

被写体は人物、スナップ、風景、報道などさまざまですが、アーティスト的な響きが最も強い肩書きです。

必ずしも「作品=利益を生む」というわけではないため、作品をつくるための情熱や精神性、生涯をかけて置い続けているテーマの強さや、その姿勢が重視されます。

そのため、今回紹介する呼び方の中ではもっともステータスが高いです。

「芸術家」「音楽家」といったニュアンスに近いでしょうか。

「写真=アート表現」という志向の人が多く、平日はサラリーマンや写真講師などの別の仕事、もしくはアルバイトと掛け持ちしながら作品づくりを続けている、ケースもあります。このあたりも現代美術家に近い感じかもしれません。

派生語として「商業写真家」「広告写真家」というものもあります。「フォトグラファー」「カメラマン」と似たような意味で、単純に英語のフォトグラファー(Photographer)を写真家と言い換えた、というニュアンスに近いです。写真で生計を立てている人のことを指します。

また、純粋な写真家に比べ、「カネを稼いでいる」ことを揶揄する場合もあり、「商業写真家」「広告写真家」の響きの方が、純粋な「写真家」よりもステータスが低いと感じる人もいます。

フォトグラファー

いわゆる「写真を撮ってメシを食っている」人です。「職業フォトグラファー」「商業フォトグラファー」のような呼び方もあります。

英語では写真を撮る人=「フォトグラファー(Photographer)」ですが、以前は「写真家」「カメラマン」という呼称が一般的でした。

「カメラマン」とほとんど同義語です。ただ、若干アーティストよりというか、作品も撮りながら写真の仕事で生計を立てている、というニュアンスが含まれます。

そのため、一般的なカメラマンよりもファッションモデルやアーティストなどと一緒に仕事をしているような、ちょっとクリエイティブなイメージもあります。

カメラマン

もともと日本では、写真で生計を立てている人のことを「カメラマン」と呼んでいました。

いわゆる、和製英語です。

そのため、英語ネイティブに「カメラマン」と言っても通じません。「I’m a Photograpner」と言いましょう。

英語で「カメラマン」は本来、映画やテレビの撮影でカメラを操る撮影技師のことを指します。

cameraman

A person who operates a camera when films or television programmes are being made

(出典:Cambridge Dictionary)

いわゆる「動画カメラマン」のことですね。日本では静止画のカメラマンと区別するために、動画カメラマンのことを「キャメラマン」と呼ぶ人もいます。

昔から使われている呼び名なので「写真で食ってる人」というニュアンスが強い呼び方です。

ただしなぜか、「作品を撮る人」という印象が少ないため、表現者というイメージも(写真家やフォトグラファーに比べてしまうと)薄いです。

残念ながら個人作品はお金を生まないことが多く、写真の仕事で食ってる人のほとんどが、やがて作品を撮ることをやめてしまうからという理由もあります。

最初はみんな情熱を持ってこの業界に入るのに……。悲しいことです。

それぞれの「名乗り方」

基本的には自由ですので、どれを使ってもOKです。

あなたが自分のことを写真家だと思えば「写真家」、フォトグラファーだと思えば「フォトグラファー」と名乗ってOKです。

写真の仕事をするのに、特に資格は必要ありません。それが複数の呼称が生まれている理由のひとつでもあります。「名乗っちゃえばカメラマン」みたいな感じですね。

ただ実際問題、誰かと対面したときに「私は写真家です」「私はフォトグラファーです」と言うと、多少気取っている感(というか、場合によっては若干の中二病感)が出てしまうので、名刺に「写真家」「フォトグラファー」と入れつつ、名刺交換するときや電話をかけるときには「カメラマンの〇〇〇です」というパターンがわりと一般的です。

「カメラマン=和製英語」ということは広く知れ渡っていて、みんなちょっとヘンだな、と心の中で感じつつも、定着してる語だし、いちいち訂正するのもめんどくさいよねというわけで結局カメラマンと名乗ることもいまだに多いです。

ただ、最近は「フォトグラファーの〇〇〇です」と名乗っても、以前ほど「は?頭湧いてんな。。大丈夫かこいつ…」という反応をする人は減ってきたので、様子を見ながら使って大丈夫です(笑)。

国際化に伴い、フォトグラファーという語が徐々に普及してきたことも大きいでしょう。

また、一般的にも、書き言葉では写真家やカメラマンの方が好まれる場合が多いです。文章の中で使うと「フォトグラファー」ってちょっと長すぎるんですよね。。

僕自身の日常での使い方

自分の名刺には「写真家」と「Photographer」の両方を入れています。

単純に、「写真家」という日本語の響きがかっこいいというのもあるのですが、上の項目でも説明したように「写真家(=作品をつくる人)」のイメージが強いため、名刺に入れてしまうことで「作品をつくり続けていくんだ」という自分への戒めにしています。

「Photographer」と入れているのは、単純に日本語ネイティブではない外国人に名刺を渡すときに、わかりやすいようにするためです。

余談ですが、僕は一時期、「フォトグラファーズ・サミット」というイベントを開催していました。著名な写真家がライブハウスのステージに登壇して作品のプレゼンテーションを行うイベントで、当時は写真業界の中で結構話題になっていました。

いろいろなメディアに取り上げられたことによって「フォトグラファー」という呼び名にあまり恥ずかしい(気取ってる)印象がなくなり、少しずつ定着するようになってきました。

というわけで、取材を受けるときなどは「日本でフォトグラファーという言葉を定着させた人」と名乗るようにしています(笑)。

個人的には「カメラマン」は和製英語なので、フォトグラファーという呼称が定着してほしかったのと、旧来的な職業カメラマンではなくて、「作家性と仕事を両立する人=フォトグラファー」が増えてほしい、という思いがありました。

当ブログでの使い方

僕自身、日本でフォトグラファーという呼び方を定着させてきたという自負があります。

そんなわけで、当ブログの中では基本的に「フォトグラファー」(=写真でメシを食ってる人&作品もつくって発表する人)という書き方をしています。

ただ、文脈によって「写真家」「カメラマン」という語を使用していることもあります。書き言葉としては、フォトグラファーという呼称を何度も使うと少しくどいからです。

(本来は、弁護士みたいにひとつの語に統一されていた方が一番楽なのですが。政治家のことをポリティシャンとは言いませんしね…)

あとがき

今回は、「写真家」「フォトグラファー」「カメラマン」の違いについて紹介しました。日本語っていろんな表現があって面白いのですが、和製英語は少しややこしいですね。

言葉の使い方は時代によっても変わってくるので、今後どういう呼び方が定着していくのか、楽しみです。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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