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カメラマンアシスタント(カメアシ)とは?【撮影アルバイトとの違い】

2020年7月4日

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カメラマンアシスタント(カメアシ)とは?【撮影アルバイトとの違い】

2020年7月4日

広告や雑誌などの撮影をサポートする仕事のことを、カメラマンアシスタント(カメアシ)と呼びます。
撮影を手伝いながら技術を学べる仕事で、フリーランスとして独立する前に一度は通る道なのですが、わりと謎に包まれている職業でもあります。

そんなわけで今日は「カメラマンアシスタント」になるための方法を紹介します。

撮影アルバイトですぐに稼げる?

まず最初に、すぐ稼げるかどうかというと微妙です。
たしかに未経験で始められる求人もあるのですが、僕のスタジオにも時々、つぎのようなメールが届きます。

求人見たんですが、募集してますか?(◯◯◯・21歳)

すべての雇用者に当てはまりますが、意外とこの方のような応募って多いんです。
残念ながら、社会人としてやっていけるマナーを押さえることは必要です。
特に、写真業界は技術職ということもあり、古いしきたりがまだまだ残っている業界です。

簡単になれる、というほど楽な業界ではないことは覚えておきましょう。

カメラマンアシスタント(カメアシ)ってなに?

まず、大まかに5種類にわかれます。順番に紹介します。

撮影アルバイト

簡単なECショッピングサイトの撮影補助や、イベント撮影の手伝いなどです。
技術レベル的にはそれほど難しくないものが多く、高度なライティングや機材の使い方は学べない傾向にあります。

スタジオアシスタント(白ホリゾント)

広告や雑誌など、商業撮影を行うスタジオのスタッフ。おもに白ホリゾントのスタジオで仕事をします。
何年か勤めるとファースト(チーフ)と呼ばれるようなポジションにつくことができ、第一線で活躍するフォトグラファーの専属アシスタントになれる可能性が広がります。
白ホリゾントのスタジオで働くスタッフのことを、スタジオマンもしくはスタジオさんと呼びます。

以前は体育会系&スパルタな業界として悪名が高かったので、ファーストになるまで長くて3~5年。

入ったばかりの頃は、トレーニングや練習と称して理不尽な肉体労働を強いられるのが普通でした。過酷な修行期間を耐えられた人だけが、晴れて専属アシへの道を歩むことができたわけです。

いまは同じやり方だと人がまったく集まらないため、だいぶゆるくなっているそうです。

ハウススタジオアシスタント

カテゴリ的には「スタジオアシスタント」の一部に含まれますが、ハウススタジオという場所で働くスタッフのことです。

ハウススタジオは自然光の撮影が多いため、白ホリゾントのスタジオに比べて機材の取り扱い方法や、ストロボを使ったライティングを学ぶ機会は少なくなります。

業務内容は予約管理、電話やメールの受付、掃除や片付けが中心になります。
白ホリのスタジオと同じく、スタジオマンもしくはスタジオさんと呼ばれます。

専属アシスタント(直アシ)

すでに独立しているフォトグラファーのもとで、専属のアシスタントとして修行を積みます。専属アシスタントを卒業すると、フリーランスとして活動するのが一般的です。

略して「直(ちょく)アシ」とも言われます。

おもに最低2年以上、広告関連の撮影では長くて4~5年は直アシを務めることが多かったのですが、最近は徐々にサイクルが短くなっているようです。

仕事の内容は、どんな師匠につくかによって変わりますが、撮影補助はもちろん、クルマの運転や雑用、請求書や経費の計算まで幅広い作業を担当することになります。
ときにはクライアントの打ち合わせやロケハン(撮影場所の下見)に同行することもあります。

ロケアシスタント(ロケアシ)

「フリーのアシスタント」としてメジャーな存在がロケアシスタントです。

アシスタント派遣を行う会社に登録し、いろいろなフォトグラファーの撮影現場に行くことになります。

未経験からスタートする場合もありますが、基本的には経験者が優遇されます。
スタジオアシスタントとして機材の扱い方やライティングを学んだあと、ロケアシとして活動するというパターンが多いです。

スタジオアシと同じく、指名が入ったフォトグラファーに気に入られ、直アシにならないかと誘われることがあります。

どうすればなれる?稼げる金額も紹介

以下の3つは、おもに求人サイトなどを使って探すことが多いです。

撮影アルバイト

マイナビバイトやバイトルといったアルバイト登録サイトにときどき求人が出ていることが多いので、探してみましょう。
写真学校や、写真学科のある専門学校にも求人情報が寄せられるときがあります。

条件:
アルバイトなので基本は時給制です。各自治体の最低賃金以上の費用を目安にしてください。(東京都内だと1000円以上)

スタジオアシスタント、ハウススタジオアシスタント
同じく、求人サイトで探します。正社員や契約社員としての募集が多いため、アルバイト登録サイト以外も見てみた方がいいでしょう。

条件:
雇用形態や会社の規模によっても異なりますが、保険など諸経費を引かれて手取りで15~20万円代前半というところが多いです。

専属アシスタント(直アシ)

求人サイトに情報が出ていることはあまりないです。
個人サイトの募集や知人の紹介、スタジオマンやロケアシとして働いている間にスカウトされることもあります。
昔は駆け出しの直アシだと無給から月2~3万、昇級後に5~10万円程度。安定して稼ぎのある師匠につくとファーストアシスタントで15万円程度というのが相場でした。
徒弟制度とはいえ、現在はそのような雇用条件だと問題があるため、もっと払っている人も増えています。

ロケアシスタント(ロケアシ)

ロケアシ派遣をやっている会社は少ないので、あまり求人サイトに情報を掲載していることはありません。広告費を払っても元が取りにくいからです。
求人側もロケアシの会社名を自分で調べてから応募することが多いこともあり、そういった意味でも広告費を払うメリットが少ないのかもしれません。

また、特定のロケアシ会社に所属せず、フリーランスのロケアシとして仕事をする人もいます。
ロケアシ派遣の会社に所属しながら、個人でロケアシをやる人もいます。
どちらもほとんどフリーランスのようなものなので、日程の調整がしやすいのが特徴です。

独立してフォトグラファーになったばかりの頃に、ロケアシで生活を安定させながら、撮影の仕事を少しずつ増やす人は多いですね。

「写真=自分の好きなこと」に関わってるわけですし、ほかのアルバイトをするよりは割がいいというのもあります。

入り口の広さを取るか、技術を学べる場所を取るか

今回は、カメラマンアシスタント(カメアシ)の仕事についてご紹介しました。

あまり自分の知識などに自信がない人はアルバイト的なものからスタートする道があります。
また、将来的に独立してプロを目指したい、という人はしっかりとした技術を学べる道を進んだ方がいいでしょう。

どんな仕事でもそれなりの修行期間は必要です。
興味がある人は、ぜひチャレンジしてみてください。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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