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プロが使う【天バン(天井バウンス)】ライティングとは?

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プロが使う【天バン(天井バウンス)】ライティングとは?

屋内(スタジオをはじめ、部屋や会議室)の撮影でプロフォトグラファーがよく使う「天バン」は天井バウンスの略で、ブツ撮りやモデル撮影でよく使用します。いったいどんな効果があるのか?今回は、僕のスタジオでも多用している「天バン」について、その仕組みと利用方法を解説します。

「天バン」ライティングとは?

「天バン」は一般的に「天井バウンス」の略だと言われています。「バウンス(bounce)」は「跳ねる、弾む」を意味する動詞のこと。
つまり、被写体(撮影する対象物)に対して直接、ストロボの光を照射するのではなく、天井に対して光を当てるライティング手法のことです。

「天バン」の効果

ストロボの光は、そのまま被写体に当ててしまうと強すぎるため、非自然な影が出てしまったり、反射してしまったりすることがあります。
天バンを使って一度天井に反射させることで、光を拡散させてふわっとしたやわらかい質感で撮ることができるようになります。
ストロボの光は「光質」と「光量」といったふたつの考え方を理解することが大切です。
この場合、直接ストロボ光を当てると「光質」が硬くなってしまい、きれいに撮影することが難しいです。
(もちろん、ときには直接当てて撮ることもあります)
天バンを使うことで「光質」はやわらかくなり、より自然な光になります。

「天バン」ライティングの注意点

便利なライティング手法の天バンですが、いくつか注意しないといけない点があります。

基本はヘッドの角度を「45度」にする

基本的にはストロボのヘッド(発光部)の角度を45度にセットします。これによって、より幅広い範囲で光を拡散させることができます。
被写体や状況によっては、ヘッドの角度を変えるときもあります。
人によっては、真上にヘッドをセットする場合もあります。よりバウンスの効果が得やすい(天井に向かって直接光を反射させるイメージ)反面、商品撮影の際には反射しやすくなってしまうので注意が必要です。

被写体の表面が反射する場合、ヘッドの角度を変える

上の項目と関連しますが、商品撮影の際、ナナメ45度にヘッドをセットすると被写体の表面が反射して光ってしまうときがあります。
この場合は光の入射角を考えながら、ヘッドの角度を調整する必要があります。

天井が高すぎるときには使えない

吹き抜けなど、天井が高すぎる場合は十分な光の量が得られないときがあります。
目安としては、2〜3mほどの高さの天井であれば、天バンを利用することができます。

天井との距離に注意する

よりたくさんの光量がほしいときには、なるべくストロボのヘッドを天井に近い位置まで上げるようにしましょう。
天井に直接光を当てて、拡散させるようなイメージです。
ただ、天井との距離を近くすることによって、それだけ拡散する光の角度が狭くなる可能性もあるので注意が必要です。
とはいえ、見た目や光量にものすごく差が出るというわけではないので、あまり神経質になる必要もありません。
あくまでうちのスタジオを例に挙げると、天井からの距離が1m未満であれば大丈夫かなと思います。(天井ではなく、壁に反射して返ってくる光の効果も狙っているため)
天井が高い場所では、ストロボのヘッドをより高く設置した方がいいと思います。

「光質」がやわらかくなりすぎる

全体に光を回すにはとても便利な天バンですが、光質がやわらかくなることで、光の芯がなくなってしまう、というデメリットもあります。
いわゆる「眠い」光になりやすいと言えます。
モードっぽいファッション撮影のときにはもっと光質を硬くすることがありますし、料理撮影や商品撮影でも、カリッとした質感がほしいときには違った方法でライティングする必要があります。
ただ、一般的に日本ではやわらかい光が好まれるので、使いやすい&場所を取らず、すぐに覚えられるという意味では、まずバウンスを使いこなせるようになるとかなり便利だと思います。

天井や壁が白、グレーのときしか使えない

基本的に、天井や近くの壁が「白」であることが望ましいです。白い天井や壁は光の反射率が高く、天バンの効果を最大限に活かすことができます。
ちなみにうちのスタジオは天井、壁、床もすべて白でペイントしていて、天井だけでなく壁に反射した光が全体に回るようにしています。
企業撮影やロケ先などで撮影する場合、天井が白であることが望ましいのですが、グレーの天井でも使用することはできます。ただ、反射率が白よりも低くなるので、より大きな光量が必要です。(または、ISO感度の設定を上げるか、絞りを浅くして撮る必要があります)
天井が黒のときでも強引にできないことはないのですが、黒は光を吸収してしまうため、反射率はさらに下がります。(長くなるので今回は詳しい説明を避けますが、天井以外の場所に反射した光が、全体に回るようなイメージです)
そのため、白い紙を貼って反射させたり、傘(アンブレラ)や、レフ板を使って反射させたりすることがあります。

色のついた天井や壁を避ける

天井に色がついている場合は「色被り」といって被写体に色が重なってしまうことがあります。
木目の天井や緑、赤い天井など、さまざまなケースが考えられますが、特に気をつけた方がいいのは赤い天井です。
僕自身も昔、天井が赤いクラブで天バンを使用して人物撮影を行ったときに、真っ赤になってしまった…という失敗があります。
人の目は「赤」に対して特に反応しやすいです。赤みが少しでも混ざっていると不自然に感じてしまうので、注意するようにしましょう。
壁についても同じです。天井だけでなく近くの壁の色を拾ってしまい、色被りが生じることがあります。

まとめ

今回は、撮影ライティングの「天バン」についての基本的なことを説明しました。
そういえば、東京に上京してきて、フリーランスになったばかりの頃、ある会社の社員カメラマンの方が天バンを使ったライティングをしていたのを思い出しました。
当時、その会社からはお仕事をいただいていたのですが、現場の見学に行ったときに「天バンにセットしといて」と言われたもののよく理解しておらず、笑われてしまいました……。
「天バン?板を使うの?なにそれ?」という感じで、かなり挙動不審だったはずです。
いま考えると恥ずかしいですね。
最初から完璧に理解することは難しいと思いますが、得た知識を実践することで少しずつ身についていきます。
今回の解説が、少しでも役に立てばと思います。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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