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撮影業界におけるスチール、ムービーの意味や違いとは?【写真&動画の知識】

2020年6月30日

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撮影業界におけるスチール、ムービーの意味や違いとは?【写真&動画の知識】

2020年6月30日

写真やビデオ撮影に関わっていると、よく「スチールの場合は」「ムービー班は」といった言葉を打ち合わせや現場で聞くことがあります。初めて聞くと「スチール?」と戸惑ってしまうんですが、それぞれの違いを具体的に解説したいと思います。

スチールとムービー

それぞれの言葉について、見ていきましょう。

スチール(スチル)

「写真撮影(を担当する人やチーム)」のこと。おもに一眼レフデジタルカメラ(フィルムの場合でも可)で、スチルとも呼ばれます。
写真、つまり静止画を撮るための機材のことをスチールカメラ、またはスチルカメラ。撮影者のことをスチールカメラマン、スチルカメラマンということもあります。

語源は「still picture」「still photography」(この場合のstillは止まった、静止したという意味)という説が主流ですが、写真撮影を行うカメラマンが鋼鉄(steal)のカメラを使っていたから、スチルと呼ばれるようになったという説もあります。(ムービーのカメラも同じようなのですが…。ちなみに一眼レフカメラのボディは、現在ほとんどプラスチック製になっています)

ムービー

「動画撮影(を担当する人やチーム)」のことを指します。「動画(班)」ということもあります。
動画を撮る機材はムービーカメラ(またはムービー)、動画を撮影する技術者はムービーカメラマンと呼ばれるのが一般的です。

なぜ、「スチール」「ムービー」と呼ばれる?

どうしてこのような呼び方をされるかというと、映画やテレビドラマなどの現場では、静止画を撮るカメラ部隊と、動画を撮るカメラ部隊が混在してるからですね。
動画撮影の際は、カメラだけでなく、照明、音声、監督、助監督、女優や俳優といった演者、ヘアメイク、スタイリスト、アシスタントなど多くの人たちがバタバタと出入りしています。

動画のカメラも1台だけということは少なく、そんな忙しい中で、お互いが「カメラマン」とか呼び合うと、めちゃくちゃややこしくなってしまうんです…。

そういうわけで、静止画と動画を撮る人を区別をするために「スチール」「ムービー」という呼称ができました。
ちなみに、写真だけを撮影する現場では「スチール」と呼ばれることはめったにありません。
動画のカメラと混在しているときだけ、「スチール」「ムービー」という風にわけられます。

どういう風に使う?
ちなみに、制作会社のディレクターがカメラマン(フォトグラファー)と名刺交換をする際の会話はこんな感じです。

カメラマン「はじめまして。カメラマンの〇〇〇です」

ディレクター「あー、どうもどうも。(名刺を見ながら)〇〇〇さんは、スチールですか?」

カメラマン「はい、メインはスチールなんですけど、たまにムービーも撮ります」

ディレクター「なるほど。僕はいつもムービーの仕事ばっかりなんで、スチールさんと会う機会ってあんまりないんですよ。ぜひ今後もよろしくお願いします」

カメラマン(仕事もらえるかな?ラッキー♪)

動画の現場におけるスチール撮影

最後に余談ですが、テレビドラマや映画現場でスチールカメラマンがどのような仕事をするかを補足します。

おもに、場面写真(ホームページやプレスリリース、ニュース素材といった宣伝用に使用される1シーンを切り取ったもの)や、メイク中やテスト撮影中のメイキング写真やオフショット(英語でbehind the scenesと呼ばれるもの)を収める仕事を行います。

映画であれば、パンフレットに掲載されるカットも、スチールが撮影します。
人気のあるドラマやバラエティなどの場合は、放送後に番組本などになるケースもあり、面白い仕事です。
基本的にはムービー班の合間に、撮影を手早く行う技術が必要ですね。
一瞬の動きや表情を逃さないようにすることが大切です。

スチール、ムービーの違いって、意外とわかったつもりでも知らないということが多いんですよね。
僕も最初、プロとして活動し始めた頃はなんとなくわかったフリをしていました(笑)。

ぜひこれを機に、覚えてもらえればうれしいです。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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