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【女性向け】フォトグラファーになる方法【プロが解説】

2020年6月2日

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【女性向け】フォトグラファーになる方法【プロが解説】

2020年6月2日

フォトグラファーはもともと「カメラマン」と呼ばれていたように、男性比率がまだまだ高い業界ですが、最近は女性も多く活躍しています。
僕は男性ですが、長年の経験を踏まえ、女性フォトグラファーが活躍するための方法を考えてみたいと思います。

なぜ、女性フォトグラファーが少ない?

写真を撮って生活する人のことを、英語ではフォトグラファーと言います。「カメラマン」は和製英語ですが「マン」と名が付くぐらいですから、旧来、ほとんどの割合を男性が占めている業界でした。
カメラマンが世の中に認知されるようになったのは、1960~70年代。雑誌などのマスメディアが一気に増え、写真の需要が高まったからです。

理由1:肉体労働だから

写真の仕事は、基本的に肉体労働です。機材は重いし、撮影は丸一日続くこともあり、男性でも肉体的にハードだなと感じることはあります。
ひとつは、この「体力勝負」なところが理由です。

理由2:お金がかかる

さらに、他の職業に比べて「設備投資費用がかかる」という点があります。僕は企業採用関連の撮影や取材に携わることも多いのですが、男性と女性の年収差はいまだに100万円近い差があります。(2020年現在の話。業種や企業によっても異なります)
また、営業職として就職し、10年後にも同じ仕事を続けられる女性の割合は数%です。
収入が少なければ、それだけ設備投資に回す金額も低くなります。

けして脅かすつもりはないのですが、まず現実の数字を把握することは大事だと思います。
(いきなり暗い話ですいません…)

理由3:30歳という年齢の壁

男女ともに高学歴化が進み、大学を卒業する方が増えています。大卒後、就職して4~5年ほど社会人経験を積むと20代後半。その後にキャリアを積んでいくか、もしくは結婚・育児をしながら仕事を続けていくかという選択は、女性ならではの難しい問題です。男性の僕が語るのも説得力はないのですが、同じように悩む人をたくさん見てきたので…。あえて不安定な分野に飛び込む、というのにリスクを感じる人は多いかと思います。

理由4:押しの強さが必要

最後に、フォトグラファーという仕事に求められる要素のひとつとして「押しの強さ」みたいなものがあります。
フリーランスとして生活していく以上、まわりはライバルであり、基本的には競争社会です。同業者同士の足の引っ張り合いもあります。女性はちいさな頃から周囲への気配りをしっかりと教育されている方が多い反面、いざというときに譲ってしまうんですよね。

一般社会ではタブーとされていますが、「相手を蹴落とす」みたいなことが普通に行われることもあります。
(けしてそういったことを賞賛しているわけではありません。僕自身は浅ましい足の引っ張り合いがイヤで、周囲のフォトグラファーから少し距離を置くようになりました。人間的に最低なやつも多いので。最近は他業種の方とのお付き合いが多く、そうした付き合いが結果的に仕事へとつながっています)

写真の仕事はアスリート、スポーツに近いです。いざというときには自分が1位にならないといけません。

女性フォトグラファーが活躍する理由

さて、暗い話から始まったところで、女性フォトグラファーならではの良さもあります。
男性だから有利かというと必ずしもそういうわけではなく、「今回の案件は女性フォトグラファーでいきたいので」とNGをくらったこともあります(笑)。
ここからは僕の主観も混じりますが、いままで見てきた「女性フォトグラファー」の魅力を挙げていきたいと思います。

基本的に真面目

雇用者目線ですが、アシスタントで仕事をしてくれる女性陣は、みんな地道で真面目。男性の方が「できるだけ楽をしたい」「ズルをしたい」「早く出世したい」みたいに、初心をおろそかにする人が多いですね。(あくまで経験上、の話です)僕自身は男女における教育風土の違いだと思っていますが、難しいジェンダー論になってしまうので割愛します。

細やかな気配りができる

私はがさつなんだけど、という方も多いかもしれませんが、大丈夫。男性の平均値よりずいぶん上です。

女性ならではの感性を生かせる

なぜかみんな、女性フォトグラファーに対しては「人あたりがソフト」という印象を持っているため(全員がそうではないかもですが)、女性ならではの感性が求められる撮影案件は多いです。詳しくは後述。

時間の自由が利きやすい

フリーランスなので、自分の都合で仕事を入れていくことができます。ただし、一度受けた撮影はよほどのことがないと断れないので、子育て中はうまく調整が必要です。

・技術職なので、復帰しやすい

技術=キャリアということもあり、比較的、他業種よりも子育てしながら復帰しやすい仕事だと思います。ただ、家族のサポートがあった方が続けやすいでしょう。

基本的にはフラットな業界

広告、雑誌、WEBメディアなどのジャンルを問わず、ほとんどの発注者側は「男性だから」「女性だから」という視点でフォトグラファーのことを見ていません。一部の古い感覚を持つ編集者は「グラビア写真は男性でないとダメ」みたいな考えがあるかもしれませんが、女性ならではの作風でグラビアを撮っている方もいます。
基本的には「その人の作風や人柄」を見て仕事を発注しますので、まったく差はありません。

女性はキャラ立ちしやすい

もともと男性が多い業界だけに、女性が活躍していると割と目を引きます。

比較的、女性フォトグラファーが好まれる分野は?

自然光を生かした「雑貨撮影」「マタニティ・子ども」「家族写真」「運動会などのイベント」「料理写真」などは、女性ならではの感性が求められる分野だといえるでしょう。
また、取材&原稿作成だけでなく、写真も撮れると仕事を得やすいです。

女性フォトグラファーとして活躍していくには?

「撮影スタジオのアシスタントを経て、機材を購入し、フォトグラファーとして独立する」という王道ルートもありますが、上記に挙げた収入や体力面のハンデから、途中で夢を諦める人も実際問題少なくありません。
なので、おすすめなのはまず一眼レフカメラを買って、週末フォトグラファーや副業としてライター兼カメラマン、みたいな仕事からスタートするルートです。

男性と女性の壁がなくなる社会に

本当は「男性だから」「女性だから」ということは言いたくないのですが、社会的にまだまだ男女の雇用格差がある以上、「傾向と対策」は必要です。
これは戦略のようなもので、「地方出身者が東京都内で独立するには?」「学歴が自身がない人が転職を成功させるには?」みたいなものです。

実際に撮影現場で会う方々は、みなさん相対的に能力が高く、魅力的な女性が多いなと感じます。
現場に行っても「男性スタッフは僕だけ」ということが増えてきました…。

フリーランスで活躍できるということは、それだけスキルが高いということの証明でもあります。
男女や年齢、人種などの格差がない社会が実現できればと思っています。

「Age is just a number, Gender is just a role」ですね。

ぜひ、フラットな社会の実現を目指してがんばりましょう。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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