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表紙のPP加工は2種類!グロスPPとマットPPの違いは?【編集業界20年以上のプロが解説】

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表紙のPP加工は2種類!グロスPPとマットPPの違いは?【編集業界20年以上のプロが解説】

本やカタログなどの顔となる表紙の加工にはこだわりたいものです。実は、多くの表紙は表面に加工が施されており、大きく分けてグロスPPとマットPPの2種類があります。その違いについて、解説します。

PP加工ってなに?


PP加工は、表紙の印刷用紙の表面を意図的にコーティングする技術です。PPとは「Poly-Propylene(ポリプロピレン)」の略で、ポリプロピレンという紙の表面を透明のフィルム膜で覆い、圧着させる加工技術のことです。
印刷費は基本的に紙の代金や加工費によって成り立っていますが、PP加工はオプション料金として設定されることが一般的です。
オプションとはいえ、PP加工を行わないことのほうが稀であり、耐久性と高級感という大きな2つの理由からほとんどの雑誌やパンフレットの表紙にはPP加工が施されます。

耐久性

もっとも大きな理由は耐久性です。
たとえば雑誌には月刊誌、季刊誌などさまざまな種類があります。月刊誌は毎月発行されますが、季刊誌は3ヶ月に1回の発行。また、特定の趣味に特化したムック本などは、3ヶ月以降店頭に置かれる可能性もあります。
そうなると、お客さんが手に取っても表面にキズがつかないよう、ある程度の耐久性を持たせる必要があるのです。
会社案内やパンフレットも同様の理由から、PP加工を行うことが多いです。
ちなみに、PP加工を行っていない表紙は、簡単にキズがついてしまうため、長期の保存には適していません。

高級感

表面に透明のフィルムを圧着させて貼るため、PP加工が施された表紙は、高級感を感じさせる仕上がりになります。
のちほどくわしく説明しますが、PP加工にはグロスPPとマットPPの2種類があり、表面の質感が異なります。
どちらかというとグロスPPの方がよりクリアな高級感を強調する仕上がりで、マットPPは落ち着いた風合いになります。

ニス加工という技術も

ちなみに、表紙の加工には「ニス加工」といったものも存在します。PP加工の方が耐久性に優れているため、ニス加工を利用する機会はPP加工に比べて少ないです。
僕の経験でいうと、以前広告代理店の制作部で働いていたときに、ある高級外車の販促ツールを作成していました。
毎回、かなり印刷費をかけて制作物をつくっていたのですが、イベントに顧客を招待する際のDMなどにはニス加工を施すことが多かったです。
耐久性という観点でいうと、DMは雑誌やパンフレットほど長期間の設置に耐えられるほどの耐久性はなくても、顧客あての「1回の郵送」に耐えられればOKです。そのため、「質感の方を優先する」という考え方でニス加工を選んでいました。
ニス加工にも、グロスとマットの2種類があります。

グロスPPとマットPPの違い

PP加工の種類には、グロスPPとマットPPの2種類があります。

グロスPP

表紙の表面に艶を出すことができる技術で、グロス感を出すことで色彩を通常よりも鮮やかに見せる効果があります。また、表紙のデザインによってはたんに鮮やかさだけでなく、堅苦しさを感じないカジュアルな印象を持たせることもできます。
いままでの経験上、特別な理由がない限り一般的な制作物はこの「グロスPP」の方を選んでおくと無難です。
ちなみに、グロスPPとマットPPを比べたときには、グロスPPのほうが費用を少しだけ安く抑えることができるといわれています。(印刷会社によっては、見積もり価格が同料金という場合もあるかもしれませんので、確認してみましょう)

マットPP加工

光沢を出さないで艶を抑えた加工技術です。写真プリントでいうと「絹目」や「マット」といった質感が近いです。
表紙に光が当たっても反射しにくいので、グロスPPとは真逆の効果を期待することができます。
光が反射しないため、落ち着いた雰囲気を出したいときや、より「風合い」を感じる本をつくりたいときに採用したい加工方法です。
手掛ける制作物の仕上がりをどのようなイメージにしたいかを十分に検討した上で、シックな雰囲気で、主張しすぎないデザインにしたいときなどにはマットPP加工を選ぶとよいでしょう。
表面の艶を抑えている分、マットPPは表面のちょっとしたキズでも目立ってしまうことがあります。印刷が出来上がったばかりの本でも、輸送時の振動でキズがついてしまうことは多いです。
グロスの方がより耐久性が高いため、そういった違いにも注意して加工方法を選ぶとよいでしょう。

あとがき

このようにグロスPPとマットPPではそれぞれ異なる良さがあります。
鮮やかな質感でしっかりとデザインを見せたいときは艶やテカりがあるグロスPPを選び、艶を消してより風合いのある表紙したいときには、マットPP加工を施す。
こうした加工の使い分けによって、イメージやコンセプトをよりしっかりと相手に伝えることができます。
ちなみに、僕個人が好きなのはマットPP加工の方です。
やはりカルチャー色が出るというか、手にしたときに「ちょっとこだわった本だな」という印象が出るからです。
ただ、書店に本が並んだ時には、グロスPPの方がパッと目に飛び込んできます。
やはり、艶や光沢がある方が単純に「情報を伝える」という意味合いにおいてはメリットがありますね。
こうした加工方法の違いも印刷の面白さです。制作物をつくる際に、ぜひ参考にしてみてください。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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