作品づくり

カメラは電子音をオンにして撮影すべき!設定方法を解説【プロ写真家の仕事術】

2020年7月30日

  1. HOME >
  2. 写真 >
  3. 作品づくり >

カメラは電子音をオンにして撮影すべき!設定方法を解説【プロ写真家の仕事術】

2020年7月30日

一眼レフやミラーレスカメラで撮影をするとき、ピント合わせ時にピピッ!とかわいい電子音が鳴ります。
僕は長年、プロのフォトグラファーとして活動していくうちに、電子音をなるべくオンにして撮影するようになりました。
あの電子音がキライで購入時に設定を変えてオフにしてしまう人って多いんですが、なぜ僕が撮り方を変えたのか、電子音をオンにすべきと考えているのか、その理由を紹介します。
プロが撮影時に気をつけているポイントについて、たぶん少しわかります。

カメラの「電子音」って?

冒頭にも書きましたが、ピントを合わせたときに鳴る「ピピッ!」という甲高い音のことです。カメラの機種によって「ポポッ!」とか、「ピコッ」とかいろいろ違んですが、大体の一眼レフカメラやミラーレス機には電子音のオンオフ設定がついています。
別に統計を取ったわけではないですが、プロフォトグラファーはこの電子音を切ってしまう(設定でオフにする)人が多いです。少なくとも僕のまわりは。

なぜみんな電子音をオフにする?

一番大きな理由は「ダサいから」ですね。
いまのデジカメって、なんだかシャッター音にしてもいまいちなんですよ。撮ってるときに様にならないというか…。なんか気が抜ける感じなんです。。
シャッターを切るときってモデルやアーティスト撮影のときはテンポよく、被写体を乗せていく感じなので、「ピピッ!」となると撮影そのものに集中できない、場の空気をつくれないと感じる人は多いはずです。
あんまり大した理由じゃないと感じる人もいるかもですが、実際に形から入るのは重要です。

たとえば、お寿司屋さんに行ったときに寿司職人のみなさんがパジャマで寿司を握っていたらドン引きですよね。

ちなみに、職人さんが寿司を握るときには、両手を勢いよく合わせて「ポン!」と音を立てますが、あれって手酢(てず)という酢水を手のひらになじませるためにやっている行動です。
つまり、米粒が手につかないようにするためなんですね。
リズム感よく「ポン!」「ポン!」と音を立てるから、なんだかおいしそうな気がしますが「ペチャ」とかだと、演出にならないわけです。。

電子音をオンにする理由

というわけで、電子音を「オン」にするといまひとつプロっぽさが出にくくなってしまうのですが、僕は電子音をなるべく切らずに撮影する派です。
そもそも電子音は、ピントが合ったときに、それを知らせるための音です。
焦点が合う、つまり合焦したときに「ピピッ!」という音が鳴ります。

ただ、人物撮影にしろ、商品撮影にしろ、ほぼ毎日のように撮影をしていると、疲れているときや、寝不足のときは必ずあります。
つねに体調を整えられればいいのですが、目がかすんでしまうときだってあります。

なかには「どんな状況でもピントを合わせるのがプロだ!」という人もいます。けしてそういった職人的なフォトグラファーを否定しているわけではなりません。
特に、僕が写真を始めた頃はマニュアルカメラをおもに使っていたので、電子音なんて機能は一切なし。マニュアルフォーカスでピントを合わせる技術を、徹底的に叩き込まれました。

ですが、時間がなくタイトな撮影で、自分では「ピントが合っている」と思い込んでいても、ピントを外してしまうというリスクは(人間である以上)、ゼロではありません。
カメラはピントが合う瞬間、のぞいているファインダー内で合焦を知らせるサインが光りますが、電子音をオンにすれば、耳からでも直感的にピントが合ったことを確認できます。

いくら自分のスキルに自信があっても「自分の能力を過信しすぎない」という戒めのために、電子音をオンにして撮影するようにしています。

デジカメの高画質化でピンボケやブレが許されなくなった

余談ですが、僕が写真を始めた90年代には「アレ、ブレ、ボケ」の写真がかっこいいとされていました。
当時は大判・中判のフィルムカメラという画質のいいカメラがあったので、キヤノンやニコンなどのカメラ(35mm一眼レフ)を使用するときは機動性や躍動感が重視されていたので、多少のピンボケやブレも、作家性的な感じで受け取ってもらうことができました。

特に、僕はもともとかっちり撮るタイプではなく、ストリート的なライブ感を重視する作風なので、「ボケててもかっこよければ OK!」「ブレてなんぼだろ!」みたいに、いまでも考えています。(手ブレ補正のあるカメラやレンズとは、いつも戦っています 笑)

ただ、仕事の写真となると残念ながらそういう風にはいかないときが増えているのも事実です。
最近はデジカメの高画質化に伴い、パソコンの画面で拡大して画像をチェックすることにみんな慣れています。多少ピントが甘い写真だったとしても、「失敗」と受け取られてしまう場合があります。
「どんなときでも失敗しないこと」は、お金をもらって写真を撮るプロフォトグラファーとして、大事な条件のひとつでもあります。

ときどき電子音をオフにする理由

でも、ときには電子音をオフにして撮影する場合もあります。それは、同じタイミングで動画撮影を同時に行っているとき。ピントを合わせるために「ピピッ!」と鳴っていたら迷惑ですよね。
映画やテレビの現場、記者会見などでは電子音を切ります。

同じく、結婚式や大事なイベントの撮影や、ライブ中のバラードやアカペラなどの歌唱時には、お客さんの迷惑になるのでオフにすべきでしょう。

それと、やっぱり「かっこつけたいとき」ですね。
やっぱり演出が大事な場面はあるので、キャリアのある俳優さんの撮影など、ここぞというときには電子音をオフにします。

一瞬でピントを合わせてシャッターを切る。
居合抜きのような感覚で、張りつめた緊張感があります。
そんなとき、フォトグラファーという仕事は、やっぱり「アスリート」に近いんだなと感じます。
みんな、嗅覚や直感力、瞬発力で生きてますからね。

電子音のセット方法
せっかくなので、一眼カメラの電子音をセットする方法を掲載しておきます。ミラーレスなど機種が違ってもだいたい設定方法は同じなので、流用できるはずです。

キヤノンとニコン、代表的なメーカーのカメラの設定方法をメモしておきますね。

*後日追記
キヤノン 5D MkIV

ニコン D780

オフでも撮れるようにしよう

今回は「電子音をオンにすべき!」という理由を解説しました。もし、撮影時に時間的な余裕があって、丁寧にピントを合わせて写真を撮れるときはオフにしても問題ありません。電子音というガイドがなくても、正確にピントを合わせる技術は必要です。
もちろんそのためには「たくさん撮ること」が大事です。
楽しんで撮影していきましょう。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

よく読まれている人気記事

1

写真を撮ってメシを食う人のことをかつては「カメラマン」と呼んでいましたが、最近は「写真家」や「フォトグラファー」という呼び方も増えています。 正直どう違うの?という方のために、フォトグラファーという呼 ...

2

雑誌やムック、カタログなどの本をつくるためには、テーマやコーナー企画の立案以外にも、さまざまな準備が必要です。中でも、重要な設計図となるのが「台割(台割り・だいわり)」と呼ばれるもの。 今回は、紙媒体 ...

3

フリーランスとして生きていく上で「専門分野を極めるべき」あるいは「複数のスキルを持った方がいい」という両方の意見があります。はたしてどちらが正しいのでしょうか?実体験を交えながら、意見を述べてみたいと ...

4

みなさんは「パーマセル」って聞いたことありますか? プロの撮影現場ではほとんどの人が持っている、とても身近な道具なのですが一般的にはほとんど知られていません。 ちょっと高いけど、ものすごく便利なので一 ...

-作品づくり

© 2024 Atsushi Photolog Powered by AFFINGER5