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レンタルスタジオ経営で稼ぐ【不労収入で利益を出す方法を妄想】

2020年8月9日

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レンタルスタジオ経営で稼ぐ【不労収入で利益を出す方法を妄想】

2020年8月9日

「撮影スタジオの経営って儲かるの?」って考えたことがありますか?
写真好きなら、一度は興味を持ったことがあるかもしれません。
今回は、撮影のための専用借しスペースを経営して稼ぐためには、どのような方法が考えられるかを考えてみました。

レンタルスタジオ経営=不労所得

自分の撮影スタジオを持つ。
しかも、貸し出しすれば何もしなくても利益が入ってくる。

不労収入で稼ぐ!!!

というのは、写真をやっている人であればだれもが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

もちろん軌道に乗ってうまくいけば問題ないのですが、ビジネスである以上、現実は甘くありません。
でも、妄想するのは楽しいですよね。

僕自身、ヒマなときには賃貸物件サイトなどを見て、いろいろ計算するのが好きです。
また、自分のスタジオを借りたときには、貸し出しして利益が上がるかどうか、実際に損益分岐点やコストの計算をしてみたこともあります。

そんなわけで、スタジオ経営に関する基本的な知識と、どれくらいの費用がかかるのかを計算してみました。

撮影スタジオとは

まずは、基本知識から見ていきましょう。

「撮影スタジオ」とは、写真や動画の撮影のために使用する専用の貸しスペースです。
おもに、雑誌やテレビ、広告といった撮影で使われるのですが、最近は撮影だけでなく、友人同士のホームパーティや女子会といった用途で使われる場所も増えています。

撮影スタジオの種類

まず、大きく分けるとスタジオの種類は3種類あります。

白ホリゾントスタジオ
真っ白な背景で撮影できるスタジオです。
背景がゆるやかなカーブ(アール)になっており、人物の撮影に向いています。

ハウススタジオ
洋風、和風など凝った内装のスタジオです。
部屋っぽい雰囲気の場所もこの中に含まれます。

キッチンスタジオ
調理ができる、フード撮影専門の場所です。
プロ向けは、オープンキッチンになっていることが多いです。

それぞれにプロ向けと一般向けがありますが、プロ向けのスタジオは設備投資にかなりの金額がかかります。
広告写真の予算が全体的に少なくなってきていることもあり、 リスクが大きいです。

そのため、今回はプロ向け用途に絞らず、「一般の方も気軽に使用できるスペース」という方向性で検討します。

初期費用(イニシャルコスト)は?

スタジオ経営時に発生するおもなイニシャルコストは、物件取得費です。

つまり、一般のアパート・マンション賃貸住宅と同じ、「敷金・礼金」「仲介手数料」「前家賃」です。

企業がオフィス事務所や店舗を借りる場合、敷金(保証金)は3~6カ月、または6~12カ月というケースが大半です。
賃貸スペースとして利用する場合は一般住宅と同様の条件で探しますので、仮に「敷金2カ月・礼金2カ月」「仲介手数料1カ月」「前家賃1カ月」と設定します。
(最近は敷金1カ月・礼金1カ月という物件が増えてはいますが、予算設定が少ないと見つかる物件数も減ってしまうため、敷金2・礼金2と考えるようにしましょう)
また、内装をつくり込む場合は、別途内装代(一般的に20万以上)がかかります。

スタジオ用に貸し出しできる機材があれば、据え置きにしておいた方が利用者の幅が広がります。

手持ちの機材がひとつもない場合は、購入する必要があります。
一式揃えると、おそらく安くても20~30万円以上ですね。
安価な機材だと、コスプレや個人撮影などへの貸し出しといった用途がメインになります。

プロ使用に耐えられるレベルの高い機材があると、制作会社からの終日利用といった予約が取れるので売上アップには貢献してくれます。
ただ、そうなると機材費だけで50万円を超えてしまうため、さすがにリスクが大きくなります。

また、宣伝用にホームページも必要です。外注することもできますが、今回はミニマムコストでのどんぶり勘定なので、自分でつくることにします。
機材とWEB費用はコスト増につながるため、いったん計算からは外しています。

家賃10万円の場合
敷金 20万円
礼金  20万円
仲介手数料 10万円
前家賃  10万円
内装・設備 10万円
火災保険
消費税10% 7万円
合計77万円

家賃20万円の場合
敷金 40万円
礼金  40万円
仲介手数料 20万円
前家賃  20万円
内装・設備 20万円
消費税10% 14万円
合計154万円

賃貸物件の家賃について
最初の予算がない=家賃が安くて狭い場所(1ルーム20~30平米程度)の物件を探してしまいがちなのですが、撮影クルーは人数が増えやすいため、すぐに5~10人以上になります。
そのため、ある程度の広さがあった方が無難です。

ちなみに、僕が借りているスタジオ兼事務所は50平米くらいで10人以上収容できますが、大人が10人超えると、少し狭く感じてしまいます。

毎月の固定費(ランニングコスト)は?

基本的には一般の賃貸住宅と同じ、月々の家賃に加え、水道光熱費、ガス代(ガスを使う場合)、Wi-Fiの使用料が考えられます。
使用用途によって多少の差はありますが、ストロボの光熱費はよほどの使用数でない限りそこまでの金額増にはならないです。
調理を行うことが多いと、ガス代が結構かかってくる感じですね。

乱暴な計算ですが、見積金額が少なすぎても赤字になるので、諸経費も合わせてざっくり月3万円として考えてみましょう。
ホームページの維持費(サーバー費用)もこの金額に含んでしまいます。

そのほかに、事業用の保険があります。スタジオ物件では過熱するストロボ機材や火を扱う機会が多いため、念のためしっかりとした保険に加入しておいた方がリスクヘッジになります。

目安の金額を説明するとそれだけで1記事分になってしまうので、仮に1ヶ月1万円として計上します。

固定費
都内20~30平米程度の場合
家賃10万円/月
水道光熱費・諸経費 3万円
事業用保険 1万円
11万円

都内30平米以上の場合
家賃20万円/月
水道光熱費・諸経費 3万円
事業用保険 1万円
24万円

上記に加えて、もしスペースレンタルの検索サイトに登録し、優先表示させるためには広告費が必要になる可能性があります。月額で数万円~数十万円って感じでしょうか。

スタッフを雇用する場合は、人件費もかかりますね。
最初から人件費を織り込んでしまうと間違いなく赤字になるので、今回は計算から除外しておきます。

毎月の売上は?損益分岐点を計算!

さて、毎月どれくらいの売上(利用者)があると黒字になるのでしょうか。
いわゆる損益分岐点(赤字と黒字をわけるライン)を計算してみましょう。
妄想してて楽しいところですね。

「レンタル 撮影スタジオ」などでリサーチしてみるとレンタル費の目安がわかるのですが、年々競合が増えているのでチャージできる金額は少なくなっています。

いまからレンタルスタジオを始めるとすると、時間制で5,000円ぐらいが目安ですね。

1時間1万円以上だと、プロ用のしっかりした設備が整った広いスタジオでないと競合と戦うのが厳しくなります。

平日と土日の売上比率は、コスプレや個人撮影、パーティ利用などをおもな使用用途にする場合だと土日中心、仕事の撮影だと平日が中心になります。
平日は安価で、土日は金額を少し上げているという場所もありますね。

レンタルスペースを経営する場合、稼働率=そのまま収益になるため、平日・土日どちらも貸し出しすることを前提に計算します。
1カ月30日、1時間5,000円と設定して計算します。

1日2時間・毎日予約が入った場合
1時間5,000円 x 2時間 = 10,000円
10,000円 x 30日
合計 30万円

1日3時間・月に20日間予約が入った場合
1時間5,000円 x 3時間 = 15,000円
10,000円 x 20日
合計 20万円

撮影時の平均利用時間を3時間以上として考えると、最低20日間は予約が入ってほしいところですね。

5時間利用、8時間利用などにディスカウント費用を設定して、なるべく長時間借りてもらうことで、もう少し効率よく利益が出るかもしれません。

また、夜間の長時間利用パックなどを設定してもいいでしょう。

初期費用(イニシャルコスト)の回収

レンタルスペースなどを経営するときの目安は、「1年から1年半ぐらいで初期費用を回収する」というのが目安です。
初期費用が回収できた時点で、利益になります。
また、2年ごとの更新料や補修費も必要です。
最低ラインの売上を設定しつつ、さらに毎月の利益はもっとあった方がいいですね。

物件契約時に気をつけるポイント

いくつか、物件探し時に注意した方がいい点をまとめました。

・レンタル物件として賃貸可能か
オーナーから物件を借りる際にはレンタルスペースとして貸し出してもいいかを確認する必要があります。事前申告しないと場合によっては契約違反になるので、注意しましょう。
民泊物件などを多く扱っている不動産屋さんだと、レンタルOKの物件情報をたくさん持っていることが多いので、訪ねてみるといいです。
最近は、LINEなどで物件情報を流してくれるところもあります。

・立地条件
基本的にはターミナル駅が近隣にあり、さらに最寄駅から徒歩5分程度が理想です。

徒歩10分近く離れている場合、内装が飛び抜けておしゃれ、という風によほど物件の魅力がなければ、借りる人は少なくなります。

・近隣とのトラブル
撮影関連業者の出入りが多くなることをあまり好まない方も多いです。
先日撮影した外部のスタジオでは近くに住んでいる方から路上駐車のクレームが頻繁に入るそうで、

・環境音が少ない場所
写真だけでなく、動画撮影料金を設定することで、利益率をアップさせることができます。
最近は動画料金別、というところも少なくなってはいるのですが。。

いずれにしても、急に「動画を撮りたい」というお客さんがいたときに、対応できるかどうかは大きな問題です。

建物の隣に線路があり、頻繁に電車が通る場所だと動画撮影は難しくなります。

・災害時のリスク
取得費用が安価な場合、水害・地震などの災害に弱いというケースがあります。近年は大型の台風が上陸する機会も増えています。いわゆる「ゼロメートル地帯」と呼ばれる場所だと浸水リスクがあるので、事前に気をつけるようにしたいです。

・利用者からの要望・クレーム
レンタルスペースを運営する以上、利用者とのやり取りは不可欠になります。
内見(下見)をしたいという要望はもちろん、物を破損してしまった、というトラブルは必ず起こります。
近くに待機するなど、そのときにすぐ対応できる体制を取る必要があります。

物件管理用のスタッフや、管理してくれる業者を雇うこともできますが、コスト増につながるので難しいところです。
民泊物件でも、「人件費や管理業者のコストを下げられるかどうか」は、利益を出すための大きなポイントなので。

・不動産業者を見極める
物件を探すときには、不動産業者を利用することになります。
中には「すぐに利益が出ますよ」というセールストークを使う人もいます。
ビジネスなので、当然ですよね。
物事を始めるときにはつい勢いで冷静に慣れなくなることもありますが、事業をやる以上、すべては自己責任です。
ちゃんと利益が出るかどうか、しっかりと見極めて判断するようにしてください。

あとがき

今回は「レンタルスタジオ経営」で利益を出すための方法について考えてみました。

ちなみに僕は、自分が撮影する用の場所を借りて、撮影スタジオ兼事務所として利用しています。

「空いている時間に貸し出し」ということも考えたのですが、自分の撮影がかなり忙しくなってきたことに加えて、「利用者からの要望・クレーム」が大変そうだなど感じて断念しました。

なんか気を使いますし…。

ちなみに、僕がスタジオ探しをした際の実体験は別記事にまとめています。

<フォトグラファーが自社スタジオを借りるときの物件探し方法>

そんなわけでスタジオ経営は「ビジネスとして甘くない」ことがわかりますが、うまくいっているところもいろいろあります。
5~6年前は1店舗だったのに、いつの間にか3店舗に増えているところなど…。

そういった場所は本業のビジネスが順調で、物件の取得費や設備投資(機材や内装など)に潤沢な予算をかけられるところが多いみたいです。

個人だと頭を使って考え抜く必要があるので、いろいろ妄想してみてください(笑)。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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