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取材現場でのライターの動き方&流れを解説

2020年5月28日

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取材現場でのライターの動き方&流れを解説

2020年5月28日

ライターの仕事を始めて活動するうちに、やがて依頼されることになるのが取材を含む仕事です。パソコンだけで作業ができるライティング業務と違って、取材現場では独特の動き方やマナーがあります。
これから取材ライターを目指す人のために、押さえておきたいポイントをまとめました。

僕の経歴

地元・九州の出版社の立ち上げに参加、当初はグラフィック・デザイナー志望でしたが最初は5~6人しかメンバーがいなかったため、デザインだけでなく取材・編集も行なっていました。
月刊誌でたくさんの取材をこなすうちに、編集長(写真家)の影響で、写真の仕事を志すことに。
現在は撮影が80%以上ですが、取材も月に数本こなしています。
最近では現場はライターさんにお任せして、全体のディレクションに回ることが多いです。(仕事の内容に撮影が含まれる場合は、僕が担当します)

今回の記事の目的

経歴を読んでいただけるとわかるように、もともと紙媒体全盛期(って言っても終わりかけでしたが)からキャリアをスタートしました。
そのため、取材はアポ取りから当たり前のようにやってきたのですが、最近はWEBライティングから仕事を始めるライターさんが多く、「取材現場での動きがわからない」という悩みをよく聞くので「現場での基本的な動き方」をまとめることにしました。

取材現場の種類と動き方の違い

取材にはいろいろ種類がありますが、大きくわけて「インタビュー取材」と「イベント取材」の2種類があります。それぞれについて見ていきましょう。

インタビュー取材の場合

インタビュー、座談会、打ち合わせの類を含みます。一般的な社会人ルールに従って、遅くとも待ち合わせ時刻の10分ほど前には現着しましょう。
多くのケースで、取材開始よりも少し早めの集合時間を提示されます。
前日にGoogle Mapなどでしっかりと取材場所と現場までのルートを確認します。段取りは大事ですね。待ち合わせ場所についても、ビルのエントランスなどを指定されるときがあります。合わせて確認しておきたいです。
ほとんどのケースで、ライターに仕事を依頼した発注者(制作会社の担当編集など)と一緒に現場へ行くことになりますが、先方に取材の目的や意図が伝わっていない、というケースがたまにあります。
その場合、「どのようなポイントに絞って取材するか」を、取材スタート時にすり合わせするようにします。
また、取材先が企業などの広告主の場合(取材に対してお金を払っているケース)などでは、先方に対して特別な配慮が必要になることが多いです。「先方企業に直接確認すると失礼になってしまうかも」という内容は、発注者元の担当にあらかじめ確認しておきたいです。
また、企業名や人名、製品名などをインタビュー中に間違えてしまう、ホームページに掲載されている情報を把握せずにズレた内容の質問をしてしまう、などは失礼に当たりますので、予備知識を事前に仕入れておきましょうね。

イベント取材の場合

イベント取材は、特に現着時間を厳守しないといけません。本当に遅刻は厳禁です。
集合時間の30分前には向かいましょう。いい場所の確保は、優先順になることがあります。大きな取材だと、早めについたな…と思っても、大手メディアが先に陣取っていることが多いです。

取材の受付

集合時間になったら、取材先の担当に連絡します。
まずは「〇〇の取材できました」と挨拶すれば大丈夫です。ほぼ話は通っています。多くの場合、受付をしないと中に入れないので「所属 フリーライター 名前〇〇」みたいに書きます。
お仕事をいただいた企業の名前を書くケースもあります。「所属〇〇新聞社 フリーライター 名前〇〇〇」などが一例です。
受付の仕方は、事前に確認しておきましょう。

中規模以上のイベント取材の場合は受付台が設定されていることが多いです。取材登録リストに名前が掲載されているはずですので、所属と名前を伝えましょう。
パスや名札を渡されることがありますので、上着などの目につく場所につけておきます。
この際に、イベントの概要やタイムスケジュールがプリントで渡されることがあるので、目を通しておきます。

イベント関連の取材は、基本的に係員の誘導で進んでいきます。会場の様子が立て込んでいると特に指示がない場合もありますので、早めに進行を確認しておくのが基本です。
現場が始まると、先方の担当者がなかなかつかまらない…ということもあります。
不明な点は、取材がスタートする前や、空き時間にしっかり確認するようにしましょう。
また、「絶対に押さえておかないといけないポイント」も事前の確認が必要です。

囲み取材の場合

イベント取材の中に含まれますが、「製品の記者発表会」や「映画の完成・公開を報告する記者発表」では、宣伝のためにタレントなどのゲストが招かれていることがあります。このとき、ゲストが壇上でコメントを述べる取材形式を「囲み取材」と呼びます。
基本的には司会の質問にしたがって進んでいきますが、「製品の記者発表会」などでは企業側の担当者がスライドで製品の特長などを説明したあとに、ゲストがしゃべるのが一般的です。
映画、ドラマや舞台などの取材は、出演者のトークが中心になります。
トークの最後には、質問時間が設けられているのが一般的です。
映画の公開などでは、取材の前後に試写会が設けられ、ライターは基本的に参加します。どうしても参加できないときはDVDを事前に貸し出してくれる場合があります。

取材時に注意しておきたいこと

「インタビュー取材」「イベント取材」の両方で、注意しておきたいポイントについて挙げてみます。

取材先に着ていく洋服

ビジネス系の取材で企業を訪れるときや、学校のパンフレットの取材時など、かちっとした取材現場では「スーツまたはジャケット」の着用を求められる場合があります。
業界用語では「ジャケパン(ジャケットとパンツ)」というのですが、男性の場合はスーツまたはジェケットとチノパンなどを着用して向かいます。ネクタイの着用はマストではないことが多いので訪問先に合わせて選んでください。
女性だと、スーツを持っていない方も多いと思いますが、ジャケットと細身のパンツといった「ビジネスカジュアル」な服装でOKです。派手なメイクやネイルは避けるようにした方が無難です。
問題は、「事前に服装指示がない場合もある」という点です。少しでも不安なときは、取材前日までに確認しておきましょう。

録音機器の確認

取材の際には、現場で録音をするケースが多いです。充電がない、機器の調子が悪いということがあると非常にまずいです。前日までに確認しておきましょう。
それと、取材時にiPhoneなどのスマートフォンで録音を行うのは、あまりライターとしてよい印象を与えません。
言ってみれば、カメラマンがポケットカメラを持って取材に行くようなものですね。
取材日までにICレコーダーを用意しておくようにしましょう。
最初は5,000円ぐらいのもので十分だと思います。
(注:使用する機器は、最終的に自分の判断で選んでくださいね)
録音方法についての記事もまとめていますので、参考にしてください。

筆記具の準備

ペンとメモの用意は必須です。記者会見などの現場ではバタバタしているので、ノートは上着のポケットに入るような大きさが望ましいです。企業取材など、会議室で実施される形式の場合はA4サイズぐらいのノートを持っていく方もいます。
ペンの準備ももちろん必要です。予備も合わせて2本はあった方がいいでしょう。狭いスペースでも書いたり消したりできるように、パイロット社のフリクションを携行しておくのがおすすめです。黒、赤、青の3本と、さらに蛍光色のものがあると便利です。
ただ、人によってはモンブランの万年筆を使った方がモチベーションが上がる!という人もいると思うので、使いやすいものを選んでください。

今回は、取材時の流れや動き方についてまとめました。
初めての取材は戸惑ってしまうことも多いかもしれませんが、いろいろな人と会って貴重な話を聞くことで、きっとさまざまな発見があるはずです。
ちなみに、僕の場合は某インターネット企業の撮影・取材がきっかけになり、随分前にやめていた英語学習を再開していまはしゃべれるようになりました(笑)。
取材ができると仕事の幅も広がります。ぜひがんばってください。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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