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旅写真で稼ぐには?【旅フォトグラファーとしてフリーランスになる方法】

2020年8月1日

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旅写真で稼ぐには?【旅フォトグラファーとしてフリーランスになる方法】

2020年8月1日

旅をしながら写真を撮り、仕事ができたら楽しいですよね。今回は「旅」に関連する写真(トラベルフォトグラファー)の仕事について、プロフォトグラファーの視点から解説してみます。

旅フォトグラファーという仕事

「旅写真家」「トラベルフォトグラファー」「旅カメラマン」という仕事は文字通り、「旅行をしながら写真を撮り、生計を立てている」人のことを指します。
旅好きな人は趣味と実益を兼ねるわけですし、「素敵な仕事だからすぐやりたい!」と思う方も多いでしょう。
旅フォトグラファーを名乗るには、「旅」を「収入」に変えることです。ある意味、旅フォトグラファーになる簡単とも言えますが、(写真に限らず)ほかの職業と同様に、専門家として続けていくのは難しいという部分もあります。具体的に説明していきます。

旅フォトグラファーになるには?

・WEBメディアで経験・実績を積む
最近では、旅関連のWEBメディアが増えており、サイト上の募集に応募して採用されると、旅先の写真と文章を掲載して報酬をもらえます。「トラベルライター」「旅ライター」のような募集が多いですね。(メジャーなのでご存じの方は多いと思います)
近年、WEBライティング需要が増えていることから「旅フォトグラファー」と「旅ライター」の境界線は曖昧になっています。(最初の入り口はどちらも同じような感じです)

また、クラウド系サイト(クラウドワークスやランサーズ)で「旅の写真と経験談を募集」のような応募が行われていることも多いので、調べてみましょう。
このようなサイトで経験・実績を積むことで、少しずつ仕事の幅を広げていくという方法があります。

・一眼レフカメラ、またはミラーレスカメラを購入する
画質のいい写真を撮るために、一眼レフカメラ、またはミラーレスカメラが必要です。最近ではiPhoneなどのスマホをメイン機として使う人もいますが、掲載されるメディアや仕事のジャンルにも異なります。「ライター」として文章を中心に活動にするのであればスマホでもOKかもしれませんが、将来的に写真をメインに仕事をしていきたい場合、画質の高いカメラはあった方がいいでしょう。
技術的に最初からハイレベルである必要はないですが、基礎的な知識は身につけておいた方がその後スムーズにいきます。

・フットワークの軽さと体力
「どのような写真を撮りたいか」「どのようなスタイルを選ぶか」によっても異なりますが、一眼レフカメラにズームレンズ、予備バッテリーや予備のカメラ、三脚などの機材を含めると重量は5kgを超えてきます。そのためにある程度の体力が必要です。
ただ、あくまでもスタイルによるため、軽いカメラを選び、装備を軽くすれば体力のない女性でも旅写真の仕事をすることはできます。

・ライターとしての文章力
「旅の体験談・エッセー」に関する需要は非常に多くあります。そのため、写真だけでなく、文章も書けた方が圧倒的に有利です。

・動画・ドローンなどの知識&技術
マストではありませんが、動画の撮影・編集や、ドローンの撮影スキルがあると仕事を依頼される機会が増えます。

旅フォトグラファーになるメリット

旅をしながら写真を撮って、お金を稼げることです。デメリットはありません(笑)。

旅写真を仕事にするには?どれくらい稼げる?

・WEBメディア
旅関連のWEBメディア案件は、1本あたり数千円というものが多いです。旅の経験を記事にする、という仕事で最初は1,500~6,000円程度を目安にするといいでしょう。徐々に経験が上がってくることで、大手WEBメディアの仕事をできるようになります。

・雑誌やパンフレット
旅の経験を仕事にする場合、少なくとも1万5千円以上~数万円程度の報酬を得られます。さらにメジャーな媒体では、ページ単価が2万円以上になる場合もあります。

・ストックフォト
旅写真の中で、大きな需要を占めるのがストックフォトと呼ばれるジャンルです。インターネット上のサイトに写真を預けて販売する形式で、1枚あたり数百円(定額制の場合は1枚数十円というケースも)から、数千円以上の報酬が得られます。
たくさん写真を預けることによって、月に数万円という金額が発生することもあります。

写真の講師
旅写真の撮り方を教える先生として、報酬を得られる仕事があります。大手カメラメーカーから依頼される際にはそれなりに高額なギャランティになりますが、報酬額は依頼先の企業や内容によって異なります。

カレンダーや広告
さらに、その道で名前を知られるフォトグラファーになると、カレンダーや広告などで写真が使用されるようになります。狭き門ですが、数十万から100万円を超える報酬が得られるようになることがあります。

「旅写真」を仕事にするために大切なこと

・「旅」の写真を撮影してアピールする
旅の写真を仕事にして、お金という対価に変えるには「旅が好き」ということをまず形にする必要があります。そのためには、手元にある程度撮りためた写真がないといけません。WEBメディアの場合は画像を添付ファイルで、出版社などの場合はプリントとして印刷した

・「得意なエリア」を決めて、極める
「なんでも撮れます」からスタートすることもできますが、旅写真というジャンルでは、国や地域を限定してそのエリアならだれにも負けない!という専門分野をつくると、長い目で見たときに評価が高まります。「旅」だけを売りにするのであれば「100カ国以上を旅した」「ヨーロッパのすべての国を踏破した」というような肩書きがあった方がベターです。
僕が知っているプロの旅写真家も、モンゴルやタイといった特定の国をそれぞれ専門分野にしています。「あの国の写真ならこの人に頼む」というレベルに達すると、テレビ番組や出版社などから口コミで写真を借りたい、といった連絡がくることもあります。(使用料金は仕事によってまちまちですが、1カット数千円以上ということが多いようです)

・「お金になりやすい・なりにくい地域」を調べる
これはあまり知られていないのですが、旅写真の中でもお金になりやすいエリアとなりにくいエリアがあります。
たとえば、台湾やハワイだと日本人旅行者が多く、近年人気のために仕事の需要はたくさんあります。その代わり、人気のある場所は競争も激しくなるため、稼ぎにくくなる可能性があります。
北欧や南米といった地域だと日本からはアクセスが悪い(航空券が高い)ために競争相手は少なくなりますが、「タスマニア島の西部」「バチカン市国の北側」のような絞り込みすぎた場所だとそもそもの需要があまりなくなってしまうため(実際には需要があるかもです…)、エリア選定には注意が必要です。
「好き」を仕事にするときには、その地域がお金になりやすいのか、稼ぐためにはどのような方法があるか、リサーチすることをおすすめします。

・テーマを深掘りする
少数民族や、地域の文化、子どもたちといったテーマを深掘りすることも重要です。「見る人に刺さる写真」を撮りましょう。

・SNSでファンを増やす
インスタグラムやTwitterなどで多くのフォロワーがいると、仕事の依頼が飛び込んでくることがあります。フォロワー数に応じた報酬がプラスされることもあります。
ただ、SNSはすでに飽和状態ということもあり、いまからアカウントをつくってスタートするとなると、なにかしら特別な「自分なりの切り口」を考えることがが必要になるでしょう。

・継続した作品発表
「旅写真」をキャリアとして築いていくためには、写真展による作品発表が欠かせません。
1~2年に1回程度は写真展を開催し、クライアントを含めた1人でも多くの人に見に来てもらうようにしましょう。
「タイが好きです!」と言葉にしたとしてても、心のどこかでは「私の方がもっとタイに詳しい」と思う人は多いものです。高いクオリティの作品を発表し続けることがフォトグラファーへの信頼につながり、なにかあったときに「一緒に仕事をしたいな」と思い出してもらえるようになります。その継続した活動を続けることで、いつしか旅写真家としてのキャリアを積むことができるようになります。
(「旅写真家」と旅フォトグラファーや旅カメラマンの違いはほとんどありませんが、旅写真家の方が響きに重厚感があるので、長年作品を発表し続けている大御所、的な印象が強いです。ドラクエなんかでいうところの上級職的なイメージですね)

最後にアドバイス

今回は、「旅フォトグラファー」になるための方法について、紹介しました。異論はあるかもしれませんが、それぞれの仕事を「目指す」あるいは「なりたい」という人のための記事ですので、僕なりの意見を書いています。一般的にはあまり表に出ない情報も網羅していると思います。
「旅」を仕事にするには、写真をメインにしていくか、原稿作成(ライティング)をメインにしていくかを決める必要があります。
続けていくうちに、その道を深く極めたいという人は「継続していくこと」が一番大事です。
長い道のりですが、そのぶんやりがいもあるジャンルです。
ぜひ、自分なりの旅写真を探求していってください。

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Atsushi Yamada

Atsushi Yamada

写真家。ときどきディレクターもやってます。 ワーホリ渡豪、20代で出版社立ち上げてフリーに。 英会話は日常会話レベル。都内の自社スタジオに棲息。 ブログでは写真や文章、クリエイティブ全般について語ってます。

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