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【桜フォトスポット】花びらの舞い散る、千歳烏山で撮影したヌードの記憶

2022年9月30日

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【桜フォトスポット】花びらの舞い散る、千歳烏山で撮影したヌードの記憶

2022年9月30日

4月は、桜が咲く華やかな季節です。いつもこの時期になると、千歳烏山でヌードを撮影したちみこちゃんのことを思い出します。
毎年この季節がくるたびに、桜の花びらが散る、美しい街についての記憶を思い起こしています。

千歳烏山の桜風景

最初は、僕のホームページに届いた一通のメールがきっかけだった。

みちこちゃんと会ったのは富士フォトサロン新人賞を受賞する1年ちょっと前。ちょうど桜が舞い散る季節だった。
ドイツの大学に留学する前に「いまの私を撮ってほしい」という連絡をもらい、千歳烏山の、彼女のアパートの部屋でふたりっきりでヌードを撮った。

アパートの帰り道、足元にはたくさんの桜の花びらが散っていた。団地に咲き乱れる桜の美しさに、僕は思わず息を飲んだ。

代々木公園や千鳥ヶ淵、目黒川など、桜の名所とされるスポットは都内に多数ある。

ただ、僕の中では、この千歳烏山の桜風景がいつまでも色褪せない思い出として、ずっと胸に刻まれている。

撮影後、僕はそのときの写真を初めての作品集「LOVE! LIFE! LIVE!」に掲載することにした。
インクジェットプリントを製本した250ページを超える自作写真集は、その後に富士フォトサロン新人賞という写真賞を受賞した。

当時のブログに、ドイツから写真賞受賞のお祝いメールが届いたときのことを掲載していたので、あらためて再掲載しようと思う。

ドイツからの手紙

受賞本当におめでとうございます!!!なんだかとりあえず嬉しいです。

アツシさんとは三回会っただけですけど、写真を撮っていただいたことはやっぱり大きいですね。うん、嬉しい。でも、たった1年ちょっと前のことなのに、なんだかもう、とおーい昔のことみたいです。

あの頃の、あの写真をとって貰ったあの瞬間の、わたしはもういません。

あたり前のことなんですけど、今は本当にそれを強く感じるんです。物質的には勿論、それだけじゃなくて精神的にも、何もかもどんどん変化していきました。あの時自明だと思っていたこと、普遍だと思っていたことが目まぐるしく変わっていく。それは良いことであったりもするしそうでなかったりもするけれど、でも兎に角、事実として変わっていって、そしてこれからも変わりつづけるんですね。

*****

そう、世の中に確かなものなんてない。日々は刻々と変わり続けていくから。

この一瞬は、もう二度と戻って来ない。でも、不確かな世界で、人は何かを残そうとする。その瞬間を残したい。だから僕は写真を撮り続けているのかもしれないと、ふと思う。

海外で暮らすのは、自分一人きりだし、きつい時もあるけど。日本に帰って来た時には、絶対に得難いもの、大きなものを得て帰ってくるはずだから。
でも時々は力を抜かなきゃダメだよ。
TAKE IT EASY! って、ドイツ語で何ていうんだっけ? わかんないけど、一瞬一瞬を大事に、日々生きていけば、必ずつながっていく。
だからがんばってね。

いまも同じ桜の風景

あの頃はただ、きっと夢だけを追い続けていて。

すぐに消え去ってしまうものを、なんとか形にしたいという想いだけで、シャッターを切り続けていました。

いつの間にかあっという間に15年以上が経ったけれど、僕はいまだに当時と何も変わっていないような気がします。

写真とは不思議な装置で、当時の写真をながめていると、撮影のときに交わした言葉や、感情が一瞬でフラッシュバックしてきます。

何度も移ろう季節の中で、もちろん変わってしまったものも多いかもしれません。

ただ、桜の風景だけはいまでも同じように美しく、たぶん10年先にも、ずっとそこにあり続けています。

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